プリンターで悩む

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Canon PIXUS PRO-10Sと、PIXUS PRO-100Sで悩む

 石川直樹さんの「写真学校」で2016年5月にグループ展を行うことになり、それに備えてキヤノンの上位プリンターを物色している。候補は、Canon PIXUS PRO-10Sと、PIXUS PRO-100S。前者は顔料インクで後者は染料インク。一般的に、モノクロは顔料インクの方が得意とされているので、当初は顔料インクのPRO-10Sを選ぶつもりでいた。しかし、実際に店頭でPRO-10Sのプリント集をみると、光沢紙に印刷されたカラー作例に艶が無い。PRO-100Sと見比べるとその差は顕著なのだが、PRO-10Sによる作例だけを見たとしても、ツヤのなさに違和感を覚える。そして、非常にプレーンというかフラットな質感。一方PRO-100Sによる作例には、月並みな言い方だが、これまでに慣れ親しんだ「写真」の艶が。インクが用紙の中に浸透して定着するからか、奥行きも感じられる。光沢紙しか使わないのであればPRO-100Sが良いかも、と再考を迫られることに。

微粒面光沢 ラスターの場合

 全体的にツヤの無い仕上がりのPRO-10Sだが、微粒面光沢ラスター紙に印刷されたカラー作品は色、質感ともに素晴らしい。微粒面(微細な凸凹)の特性からか、プレーンな紙には無かった落ち着いた艶が見て取れる。艶というよりも、微細な輝きと言った方が適切かもしれない。解像感も素晴らしい。しかし、発色や艶やかさに関しては、やはりPRO-100Sに軍配が。
 もともと作品に艶はあまり求めていないのだが、インクの特性上そもそもそれが出しにくい、となると事情が異なる。高精細かつ豊かな階調を求めて顔料機を選択するのも良いのだが、汎用性を考えるとツヤが出ないPRO-10Sには不安が残る。場合によっては、ガラスコートのような艶を求められることもあるかもしれないし。

コットンペーパーの場合

 光沢紙や半光沢紙の場合、発色やツヤ、奥行きはPRO-100Sに軍配が上がるものの(個人の感想)、コットン紙となるとそれが見事に逆転。顔料インクは紙の表面に定着するのに対し、染料インクは紙の内部に浸透し沈着するので、インクをよく吸うコットンペーパーには不向きなのかもしれない。
 実は、和紙へのプリントも念頭に入れているので、顔料では解像感が失われてしまう恐れがある。しかし、お隣徳島のアワガミファクトリーさんの和紙は、インクジェットプリンターで印刷しても滲まないように加工が施されている。もし染料インクでも和紙に精細にプリントできるのであればPRO-100Sを買おうと思うが、そうでなければ、この問答はしばらく続きそうである。