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ドブロブニクからモスタルまでは3時間。国境でパスポート審査を済ませボスニアへ。その後すぐにネウムのサービスエリアに停車。モスタルに着くのが20時を越えそうだったので、一応パンを買っておいた。そのままボスニア領内を走行するのかと思いきや、バスは再びクロアチアへ。当然のことながら、国境を越えるたびにパスポートにはスタンプが捺されてゆく。そしてまたボスニアへ。スタンプだらけだ。

ボスニアに入ると、街のトーンが暗くなった。学生時代に、ドイツからチェコに入った時のことを思い出した。ボスニアは復興が遅れているようだ。ロバートはiPhoneでリック・スティーブスという有名な旅人の音声ガイドを聞いている。「これ良いから、Wi-FiをキャッチしたらDLすると良いよ」とのこと。

しばらくすると、遠くの山の上にライトアップされた十字架が見てきた。モスタルに住むクロアチア系住民のモニュメントだ。写真や映像でしか見たことのなかった世界遺産「スタリ・モスト」(Stari most / 古い橋)までもう少しだと思うと興奮した。

バスはモスタルの市街地へ。街は暗く、戦闘で傷ついた建物が目立つ。これまで巡った都市との違いに驚く。間もなくバスはターミナルに到着。時間は20時近くだったと思う。ターミナルは比較的大きな建物だが、共産主義的な無機質なデザインで雰囲気が少し重苦しい。

一行、ホテルを目指してすぐ前のりを右へ。少し雨が降ったのか路面がしっとりしていた。ホテルは市の中心。ところが、歩けば歩くほど街は暗くなる。不思議に思い、一行立ち止まってガイドブックで位置を確認。どうやら反対方向に進んでいるようだ。

ここで事件。後ろから歩いてきていた地元の若者らが我々を邪魔に思ったようで、ブロークンな英語で我々を怒鳴り付け、イト君のスーツケースを突き飛ばした。一瞬、面倒なことになったなと思ったが、若者らはそのまま肩で風を切って夜の闇に消えていった。大きなトラブルに発展しなくて良かった。

※主観ですが、夜のモスタルは治安があまり良くなさそうでした。実際に、旅行者が暴行を受けたという報告もあるので、暗くなってからの外出は控えた方が良さそうです。

気を取り直して来た道を引き返し、バスターミナルに戻ると、宿の客引きの女性がきれいなアクセントの英語で話しかけてきた。既に泊まるところは決めてあると告げると残念そうな顔をしたが、「あなた達の宿はあっちよ」と大まかな方向を教えてくれた。さらに、「旧市街の石畳はかなりボコボコしているから、スーツケースを引いて歩くのは難しいかもしれないわね」と注意もしてくれた。

スタリ・モストはバス停から左の方向。橋の掛かるネトレヴァ川は、バス停の前の通りに平行して流れているので、川から離れないように気をつけながら、できるだけ明るい道を選んで歩いた。先ほどに比べると人通りは多いものの、街の雰囲気はどんよりしている。カフェや民家の軒下から立ち込めるタバコの煙のせいだろうか。2010年の時点でボスニアの失業率は約43%とのこと。厳しい現実が日没後の街に暗い影を落とすのかもしれない。

しばらく歩くと周囲の雰囲気が一変。ゴツゴツした石畳に東洋的なの雰囲気漂う洒落た建物。旧市街に入ったようだ。客引きの女性の言うとおり、石畳はかなりボコボコしていて、スーツケースのタイヤは役に立たない。スタリ・モストまであと100mほどだが、重たいスーツケースを持って歩くのは骨が折れる。石畳を迂回する道もあるようだ。

額に汗が滲んできたころ、パッと開けた家屋の先に見事なアーチ状の橋が目に飛び込んできた。スタリ・モストだ。遂にここまでやってきた。

つづく。

【INFO】 モスタルのバス停から、スタリ・モスト(Stari Most,「古い橋」) までの道のり
徒歩17分 / 1.4km